2019年03月14日

V-22とF-35Bの優位性とSTOVL空母の可能性

STOVLcarrier2030.jpg

日本でもいずも型護衛艦にF-35Bを運用する能力を付与することになり
欧州、豪州でもF-35Bを搭載可能な揚陸艦が増えています。
世界の艦船2018年7月号でも特集された、STOVL空母ですが
通常固定ジェット戦闘機・攻撃機に匹敵する能力を持つF-35Bの登場によって
その立ち位置がずいぶん変わってきています。

ただ、F-35Bだけでは従来のハリアー・シーハリアー搭載艦と変わりません。
短距離離陸のため搭載燃料・搭載兵器が少なく、限られた攻撃能力しか持ちません。
そこで重要なのが、V-22オスプレイの配備です。
もちろん単機としてヘリコプターを大きく上回るスピードと
航続距離は性能としては申し分ありませんが
それ以上に重要なのは、従来の空母で作戦の要となっていた給油機や
早期警戒機など、補助的な任務に対応できる可能性が高いからです。

空中給油は短距離離陸をするF-35Bにとって最も必要な運用で、
もともと通常型のF-35Aに比べ燃料搭載量が少なく、
加えてステルス機なので機外への補助タンクの搭載がはばかられるF-35Bには
救世主のようなものです。
オスプレイはすでに空中給油パッケージをペイロードに搭載して
F/A-18に給油する実験をはじめており、実用化は間近でしょう。
米海軍F/A-18のように同型機を給油機として運用するよりはるかに効率的です。
(世界の艦船2018年7月号ではV-22の空中給油について書いていたのはごくわずかで、なぜそこに言及しないのか不思議なくらいでした)
 
E-2Dなどの早期警戒機もカタパルトのないSTOVL空母からは発艦できません。
(現在開発が進んでいるドローン給油機もカタパルトがないと発艦できません)
イギリス海軍はHMSクイーンエリザベスを建造している時期に
オスプレイの早期警戒型の提案をしていて、当時は開発にまで発展しませんでしたが
日本も欲しいとなればボーイングもその気になるでしょう。
できれば今はヘリが中心の哨戒機もオスプレイ版が欲しいところです。
より広い範囲を哨戒できるからです。

加えて米空母にはEA-18Gという電子戦機も搭載しています。
F-35Bはその高い探知能力から、簡易な早期警戒機として運用も可能なことは
知られていますが、電子戦機にはそれなりな装備が必要になります。
そこで個人的に考えたのが並列複座のEA-35Bです。
電子戦機には専任の電子戦士官が必要ですので、複座を開発したいところですが
F-35Bを従来のタンデム複座にするのは、コクピットのすぐ背後にリフトファンが
あるので、前後長を2メートル程度延長しないと不可能でしょう。
そこで、リフトファンカバーの凹凸をそのまま延長する形で
並列コクピットを作ります。そのままでは機体形状に無理が生じるので
中央・後部機体も40〜60cmほど拡幅します。
(並列コクピットと重量バランスをとるため、後方にも50cmほど延長することになるでしょう)
拡幅した機体容積は元から足らない燃料タンクに全て当てます。
ウェポンベイも燃料タンクに転用したいくらいですが、自衛のAAMは最低限(蓋の内側)、加えてレーダーサイト攻撃用の対レーダーミサイルも搭載する可能性もあるため、庫内燃料パックとの選択式になるでしょうね。
(EA-35Bの開発と同時にCTOL型のF/A-35DやEも開発できたら面白いですね)

実現できるかどうかは別にして、オスプレイV-22とF-35Bの組み合わせは
STOVL空母に大きな可能性を開きます。
加えて、この組み合わせは米国の同盟国でないと実現しないもので
中国やロシアには大きな脅威になることでしょう。
中国で建造中のスキージャンプ式の001A空母は就役、即陳腐化の憂き目にあうかもしれません。
フルサイズ空母なのに”軽空母”より劣ることは中国海軍当局にとって許されないことでしょう。
(レッドチームの影響下にある運動家たちがオスプレイ配備に猛反対しているのはこれが理由の一つかもしれませんね)

当然、問題というか解決したい欠点もたくさんあります。
現在就役中のF-35B運用可能艦船の多くは、揚陸艦の体を成しています。
搭載容量の少ないこの手の船は、航空機搭載量と揚陸用車両量が
トレードオフの関係にあります。
加えて、後部にウェルドックを持つ揚陸艦は、ドック使用のため
大きなバラストタンクが必要になります。
もしバラストタンクが必要ない場合、そこには艦載機燃料を搭載することができます。
現在需要が高まっているパワープロジェクションシップの理想としては
主F-35B搭載空母型と、ウェルドックを持つ主揚陸型の
準同型艦二隻の同時運用で互いを保管するのが理想的なのかなと思います。
もちろんどちらも港での戦闘車両の揚陸能力はもっていて
場合によっては避難民収容や病院船能力も持つことになるでしょう。
(艦載機燃料はタービン発電機の燃料に使えるので、係留型の発電所の能力も
有することになります)
おそらく、いずも型程度の船体幅、前後長をもち、くわえて
スペイン海軍のフアン・カルロス1世のように2層船体を高くして
航空機専用格納庫を設けるの形が良いのではと思います。
たぶん費用節約のため商船設計にはなるでしょうね。
スキージャンプ滑走路は、まぁ無くてフル武装のF-35Bが離陸できれば
いらないです。ヘリやオスプレイの発艦ポートが減りますし。
離陸直後の空中給油必須ですが。
あと、F-35Bは軽量化・構造の単純化を狙って、主翼は折りたたみできません。
(ハリアーもロールポストが翼端にあるため折りたたみできませんでした)
そのため、同じ格納庫の広さでも海軍用のF-35Cより少ない機数しか収容できません。
格納庫の狭い揚陸艦型はより制約を受けることになります。
これはSTOVL空母の弱点の一つでもありますね。
F-35はどの機種もウェポンベイがお腹にあるため、主脚の収納を翼側に広げざるを得ず、左右主脚の幅が従来機より広くなっています。
そのため甲板や格納庫内での旋回半径が大きくて、ようするに取り回しが悪いのです。
元からいろんな場所が狭いSTOVL空母にはこれは案外ボディブローのように効くのかもしれません。
(たとえば攻撃作戦時などに、単位時間あたりに発艦できる機数が少なくなります。ということは空中で待機している僚機の燃料を余分に食うことになります)
英海軍がQE級をあのサイズにしたのは案外正しい判断だったかもしれませんね。

2019.3.14 追記
F35_bottomdoor011.jpg

F-35に関連して、ABCの各型による微妙な違いを見つけたのでこの記事に追記します。
空母用のC型は急激な荷重の掛かる着艦に備えるため前後の着陸脚が丈夫になっていて、前輪は二輪にもなっている、というところまでは知っていましたが、脚の収納庫まで違っていることにやっと気が付きました。
カタパルト発進にかかる力に対応する為、折畳み用アクチュエータが後方取付になっていて(前方に二輪を収納するスペースのこともあるとは思いますが)、脚展開時にはアクチュエータが機外に出るため、前脚扉が後方に一枚増えています。
アクチュエータ取付のためにフレームの形状も違うでしょうし、A型でここに配置されていた電子機器が背中の給油口か25ミリガンのスペースに移設されている可能性がありますね。B型では丁度前部ファンからのエア排出口になっている場所ですのでABC全てで構造が違うことになります。
元々F-35の前脚収納扉がやけに大きいこと(左右に大きく開いている)は気がついていましたので、そこはC型のダブルタイヤに対応しているんだなと思っていました。主翼面積・折畳み機構や機体強度(+海軍独自仕様)などの違い程度かと思っていましたが、案外根本的な違いもあったりしたんですね。
この広い前脚収納扉ですが、もしかするとウェポンベイ扉同様、揚力増強装置の役割を担っているのかもしれません。
従来の単輪用の扉だったらF-15やF-16のように一枚扉だったりしますから。
(もしかするとA型もC型と同じフレーム構造で、アクチュエータのある場所には機器はないのかもしれません)
(F-35の機首の短さもC型の空母での発着艦での視界を考慮して決めたものだということです)

F-35BのウェポンベイがA・C型より小さいことは知られていますが、私は勝手にリフトファンのある前方が小さいと思っていましたが、模型の内部を見て後方の一桁分が削られていることががわかりました。
ウェポンベイ後端辺りにはちょうどエンジンから左右の主翼に通ずるロールポストのダクトが出ている部分で、ダクトそのものはエンジンの上半分から出ているので干渉しないと思うのですが、補機があるのか、あるいはダクトの熱による庫内温度の上昇を嫌ったのか、理由はよくわかりません。
ちなみにB型の内蔵外側のステーション4/8の最大搭載重量は1500lbとA・C型の2500lbとは1000lbも少ない数値になっています。構造上の重量制限みたいです。
なので短いウェポンベイに合わせて短いだけの爆弾を作ってもそのまま搭載はできないということです。
B型の4つのウェポンベイの扉は、長さだけでなく輪郭も微妙に違っています。
外側の扉のヒンジの付くあたりの分割も無くなっていて、ヒンジ自体の構造も違っているのかもしれません。


これからも雑誌の写真は事細かに眺めて色々見つけようとおもいます。
※(ちなみにこういうのも模型を作り比べたら簡単に分かっちゃいますね。キティホークの1/48キットは前脚収納部の三方を共通部品にして後方壁だけアクチュエータ用の箱を付け替える仕様で対応されてまして、流石だなと思いました)
※(ちなみにその2、システム開発実証機の最初の機体であるAA-1は前脚扉が1枚しかありません。概念実証機のX-35も同様です。その後のAF-1、BF-1等以降は全て両開きの2枚扉です)
※(ちなみにその3、機体の部材でいうとA型とC型の共通部材って6割ほどしかないそうなので、脚取り付けあたりのフレームについてはそもそも違っていると解釈したほうがいいのかもしれません)
※(ちなみにその4、カナダ空軍向けのCF-35は空中給油のプローブがBC型同様コクピット右脇の予定だそうです。ある程度の機器配置の柔軟性は持っているみたいですね。ただこの話、まだ未決というのと、カナダがF-18を運用するのに、北極近くの小規模基地のためにアレスティングフックや主翼の折り畳み機構を有効に使っているという記載もあったので、F-35Cを採用するって話なのかもしれません)

posted by 禅芝zenseava at 12:00| その他のメカ Other Mechanics | 更新情報をチェックする